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オープン就労orクローズ就労?精神疾患があっても働きたい、そんなあなたへ。メリット・デメリットお教えします。

病気や障害を抱えながらも「働きたい」と思ったとき、仕事を探す前に考えなければならないことがあります。

それは、自分の病気や障害を開示したうえで働く「オープン就労」を目指すのか、開示せずに働く「クローズ就労」を選ぶのかということ。

こんにちは。看護師ライターの恩田ゆうかです。


今回は、オープン就労とクローズ就労のメリット・デメリットについて、一緒に見ていきたいと思います。

オープン就労、クローズ就労とは?

Photo by Dose Media on Unsplash

「オープン就労」とは、自分の病気や障害を開示した上で就活や就労をすることです。主に「障害者枠」での就労という形になります。

オープン就労をする際には、障害者手帳の取得が必要です。

障害者手帳の種類

一方「クローズ就労」とは、自分の病気や障害を開示せずに就活や就労をすることです。クローズ就労は、一般枠での就労となります。

オープン就労の4つのメリット

Photo by Van Tay Media on Unsplash

では、オープン就労をしたときのメリットについて見てみましょう。

①病気や障害について理解のある環境で働ける

病気や障害について一定の理解が得られるということは、働く上で大きなメリットになるでしょう。仮に、突発的な体調不良になったとしても、休みがとりやすかったり、ある程度融通が利いたりするのは安心ですよね

②仕事内容な勤務形態などを考慮してもらえる

病気や障害によっては、特定の作業や環境が苦手であったり、業務内容との相性が悪かったりすることがあります。自分の得意分野や苦手分野を知ってもらい、それによって適材適所の配置がかなうのであれば、あなたの仕事の効率はグンと上がるでしょうし、企業側にとっても大きなメリットになります。

③通院や服薬がしやすい

人間、体が資本です。体調管理も仕事のうちとはよく言う言葉ですが、病気や障害をオープンにすることで、通院のための時間を確保しやすくなります。また、お昼休憩中などの内服のタイミングでも、人目を気にすることなく薬を飲むことができますね。

④支援機関のフォローが得られる

あなたが就労移行支援事業所などの支援機関を利用しているのであれば、面談やカウンセリング等のサポートを受けることができ、あなたと企業との間で調整役となってもらえるでしょう。

オープン就労の2つのデメリット

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オープン就労のデメリットには、どんなものがあるのでしょうか。

①求人数が少なく、仕事の選択肢が狭まる

障害者雇用の割合は、年々増加傾向にはあるものの、一般就労と比較するとまだまだ求人数が少ないのが現状です。求人は主に事務職が多く、自身のやりたい仕事と求人内容との間にギャップが生じるケースも多いでしょう。

②給与の水準が低い傾向にある

こちらも一般就労と比較して、大きな差が出てしまっている点です。障害者雇用の場合、労働時間が短かったり、非正規雇用であったりするケースが多いためと考えられます。

クローズ就労の4つのメリット

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一方、クローズ就労のメリットを見てみましょう。

①障害者枠の求人に比べて、求人数が多い

一般就労となると、ありとあらゆる業種や職種が就労先の候補としてあがってきます。その分、仕事の業種や職種も多く、求人数も多いです。オープン就労と比べて、自分の希望する条件にマッチする求人も見つけやすいかもしれませんね。

②キャリアアップが望める

障害者枠という縛りが無いため、興味がある仕事にチャレンジすることができます。様々な仕事を経験してキャリアアップしていくなど、働き方の選択肢を広げることもできます。

③障害者枠の求人に比べて、給与水準が高い

フルタイムで働くことや残業があることを念頭において考えるのであれば、障害者雇用と比べて勤務時間は長くなりますし、給与水準もそれに合わせて高くなります。しかし、企業や働き方によって大きく変わってくる点ではあります。

病気や障害について、気を遣われずに済む

病気や障害を抱える人の中には、かえって支援や配慮はされたくないという人もいます。そういった方にとっては、クローズ就労で働いたほうが、のびのびと仕事ができるかもしれませんね

クローズ就労の3つのデメリット

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クローズ就労のデメリットは以下の通りです。

仕事内容や勤務形態などに配慮が得られない

オープン就労と異なり、就業先はあなたの病気や障害のことは知らないため、仕事内容や勤務形態に特別な配慮を得るのは難しいでしょう。負担となる業務を任されても、断ったり、周囲に相談しにくいと考えたほうがよさそうです。

病気や障害を隠すことがストレスとなる恐れがある

病気や障害を開示せずに働いていることが「バレてしまうのでは?」という強い不安感に繋がる場合があります

③通院や服薬が難しくなる恐れがある

定期的な通院のために、毎回毎回休みは取りづらいかもしれません。就業先で薬を飲むことさえも気になってしまい、体調を崩してしまっては本末転倒です。

最後に

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オープン就労とクローズ就労のメリット・デメリットについて、お伝えしてきました。


オープン就労でもクローズ就労でも、過労やストレスが重なり、再発や退職となってしまってはもったいないですよね。


自分の体調やこころの面で、不安や心配はありませんか?自分では「大丈夫」だと思っていても、周囲には違った評価をされることもあります。
就労するにあたっては、周囲や主治医の意見を聞くことも大切ですし、就労移行支援事業所などに相談してみるのもいいでしょう。


オープン就労にするか、クローズ就労にするか、本当に悩ましいところだと思います。
自分に合った働き方ができるのはどちらか、あるいは「長く働き続けられそうなのはどちらか。そんな視点で見てみると、新たな発見があるかもしれませんね。


せっかくの「働きたい」という、すばらしい思い。どうか大切にしていただきたいなと思います。