体験記11・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【会話が疲れる】のリアルなおはなし
こんにちは。恩田ゆうかです。
この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。
同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。
今回はのテーマは「会話が疲れる」です。
話すペースが遅くなる
うつ状態にも波がありますが、その波が夫には手に取るように見えていたようでした。
「今日は一段と体調が悪いんだね」とズバリ当てられてしまうのです。
どうして分かるのか不思議だったのですが、どうやら私の話すスピードが遅いときは調子が悪いというのが、夫の持論でした。
自分ではあまり自覚はなかったのですが、確かに体調が落ちているときは、自分の周りを流れる時間が早送りされている感覚でした。話しかけられても、聞き返すことが多かったように思います。
複雑な話は理解が難しい
あるとき、実家に立ち寄ったことがありました。その頃はまだまだ体調
は万全ではなかったのですが、どうしても済ませなければならない用事があって、近くまで行ったときに少し顔を見せにいったのです。
は万全ではなかったのですが、どうしても済ませなければならない用事があって、近くまで行ったときに少し顔を見せにいったのです。
母は私のことを心配してくれて、夫に私の体調などをたずねていたように思うのですが、母と夫の会話のペースが速くて、全く理解できないことに愕然とした記憶があります。
まるで2倍速や3倍速で再生される動画のようで、ただただ会話の端々をつまむくらいしかできなかったのを覚えています。あとから聞いたのですが、そのときの私の様子は「とてもイライラしている」ように見えていたそうです。
残るのは強い疲労感
早送りの世界にいる中でも、働かない頭をフルに働かせてまで会話を成立させようとするのが、うつ病患者の特徴なのかもしれません。
普段は、「ごめんね、ちょっと疲れているから話はあとでもいい?」で済ませられることも、そうはいかないのが通院時の診察の場面です。普段会話のシャワーを浴びていないので、診察のときはなおのこと体力を使います。
先生の質問も何度も聞き返してしまいますし、先生の話の意図はどういうことだろうなどと考えた日には、頭の中がぎゅうぎゅう詰めにされたような重たい感覚になり、帰って寝込むようなことも何度もありました。
ゆうかのワンポイント
体調がすぐれないときは、会話も含め、情報を遮断するのが一番望ましいです。何も考えずゆっくり休みましょう。
周囲の方に分かっていただきたいことは、会話は思っている以上に体力を使うコミュニケーションだということです。ほとんど働いていない頭で、表情やしぐさを見て、相手の考えていることや言おうとしていることを推測したり、自分が何をどう言葉にして話そうかと考えたりすることは、空っぽのエネルギーでは到底難しいことなのです。
また楽しい会話を弾ませられる日が必ず来ますから、今はその日を待ちながらしっかり休養を取りましょうね。