離婚に直結!? 最近よく聞く「カサンドラ症候群」とは?実体験を交えて解説。
カサンドラ症候群とは
近年、少しずつ知られるようになってきたカサンドラ症候群。Wikipediaでは、「カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群の夫または妻(あるいはパートナー)と情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる、身体的・精神的症状を表す言葉である」と定義されています。 ちょっとかみ砕きながら、補足説明していきますね。
カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群をはじめとした「自閉症スペクトラム」の人とコミュケーションが上手くとれないことによって、心身に様々な不調をきたしている状態を指します。あくまでこれは状態であり、2020年現在では正式な疾患名として取り扱われていません。
カサンドラ症候群の人は、パートナーとの関係性で生じた問題によって苦しんでいることに加え、それがプライベートな問題であるがゆえに社会からも理解されないといった二重の苦しみを味わっています。
もともと「カサンドラ」とはギリシャ神話に登場する王女の名前。正確な未来予知の能力を持ちながらも誰にも信じてもらえないという境遇を重ね合わせて、このような名前が付けられたのです。
自閉症スペクトラムの特性
アスペルガー症候群をはじめとした「自閉症スペクトラム」に分類される人は、以下のような特徴を持っています。
- 相手の気持ちを察することが苦手
- 空気を読むことが苦手
- 比喩表現やオブラートに包んだ話が苦手
- 思ったことは悪気なく素直に話す
- 会話が一方的になりがちで噛み合いにくい
- 視線が合いにくい
- 融通が利かない
- 自分なりのこだわりが強い など
上記の特徴からも分かるように、自閉症スペクトラムの人はコミュニケーションを取ることが得意ではありません。
勘違いされやすいのですが、これらいわゆる発達障害は、子どもだけではなく、大人になって初めて診断がつく場合も多いです。診断されることなく、一生気付かないままの人もいます。
また、自閉症スペクトラムの人でも、支障をきたすことなく社会生活を送っている人はたくさんいますし、高学歴で有名企業に勤めている優秀な人も大勢います。
そのような自閉症スペクトラムの人と、一緒に暮らすようになって初めて、ようやく強い違和感を覚えるようになったというケースはよくある話なのです。
感情を伴った交流ができず、どこか上辺でのやり取りになってしまう。こちらが情緒的に働きかけても、いつも「のれんに腕押し」しているような感覚。ちぐはぐなコミュニケーション。一番理解してもらいたい人に自分のことを理解してもらえない。
こんな微妙な違和感が日常の中で積みあがっていくうちに、孤独感や満たされない思いが募り、次第に大きなストレスに変わっていきます。
自閉症スペクトラムの人は、はたから見れば「真面目そうないい人」。そのため、周囲の人からも「仕事も家事もできるいい人なのに何がそんなに不満なの」と分かってもらえない。悪いのは自分の方なのではと次第に思いつめるようになっていくのです。
パートナーから得られない共感、そして周囲から得られない理解。
これらによって、心身ともに不調をきたした状態が「カサンドラ症候群」なのです。
症状
カサンドラ症候群によって生じる症状は多種多様です。
私の場合は、頭痛、吐き気・嘔吐、抑うつ感、自己肯定感の低下が顕著でした。
その他に、以下のような症状があげられます。
対処方法
1.相談機関に相談する
日本全国に存在する発達障害者支援センターや、当事者同士で作られた自助ボランティアグループなどに相談してみてはいかがでしょうか。
周囲からは理解されにくい問題かもしれふませんが、理解してくれる人は必ずいます。
カサンドラ症候群専門のカウンセリングを行なっている心理カウンセラーも多く存在します。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。
2.距離を取る
別居するなどして、物理的・心理的に距離を取るのは良い方法でしょう。冷静な目で客観的に自分たちの関係を見直すのは有意義なことです。何よりパートナーと離れることで症状が緩和する場合もあります。
また、パートナーの特性を理解して、良い意味で距離を保ちながら関係を築き直していくことは、カサンドラ症候群の克服にとって重要なポイントです。
しかしながら、傷付き、心身共に疲弊している人にとっては、それを個人で行うことは極めて難しいと言えます。パートナー自身も自分の特性を理解し、お互いが協力し合うことが必要不可欠です。
3.別れる
自閉症スペクトラムの特性は、努力やトレーニングで簡単に克服できるものではありません。相手を気遣う、気持ちを察するという行為は、そう簡単に練習で得られるものではないのです。
しかし、パートナーに「悪気がない」というのは、あなたが傷付けられていい理由にはなりません。
私自身、愛があればどんな困難も乗り越えられると思っていました。
でも、これには条件があるというのを痛感したのです。
愛は循環させて初めて強さを発揮できるもの。
与えるばかりでは、必ず枯渇してしまうということ。
片方だけの努力で夫婦という形を維持することが、どれほど孤独で苦しいものかは、実際に体験した人でなければ分からない感覚だと思います。
2人で協力しあいながら生きていくことが難しいと結論付けた私たちは、離婚という選択肢を選ぶことにしました。
最後に
カサンドラ症候群を考える上で一番大切なことは、誰かのせいではないということ。
あなたが悪いわけでも、自閉症スペクトラムの人が悪いわけでもありません。
だからこそ、孤立しないでください。
ひとりで苦しまないでください。
カサンドラ症候群が広く社会に知られるようになり、一人でも多く理解者を増やすことが、カサンドラ症候群に苦しむ人を救う一助になると信じています。
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