体験記5・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【休職するまで】のリアルなおはなし
こんにちは、恩田ゆうかです。
この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。
同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。
今回のテーマは「休職するまで」です。
ギリギリの状態での仕事
精神科に受診した後も、仕事は続けていました。
職場には事情を説明し、内服をしながら働いていました。幸いなことに周囲からの理解もあり、負担の大きな一部の業務は、他のスタッフにお任せするなどしていました。
しかし、仕事をするというのは、かなり大変なことでした。毎朝鉛のような体で、吐き気や頭痛に見舞われながら、気力だけで通勤しているような状態だったのです。
それでも、仕事中は気が張っていたのか、なんとかこなせてしまいます。ただ、仕事を終えて帰ってきたときには、ぐったりしていましたし、正直なところその頃の記憶があまり思い出せません。
ハッキリと覚えているのは、毎朝職場に着くたびに涙を流していたり、えずいていたり、過呼吸を起こしたりしてしまい、周囲には本当に心配と迷惑をかけてしまったということです。
本格的に動けなくなる
そんな日が続いたある日の朝。
ようやく職場に辿りついたところで、強い吐き気に見舞われます。
とにかく体がつらくて、重たくて、何かを考えたり、判断したりするのも難しい状況でした。思えば、食事も睡眠も十分に取れない日が続いていたのです。
気が付くと「休憩用のスペースで休むように」と上司に連れられていました。
そこからはソファーに横になり、ずっと時計を眺めていました。1時間経ち、2時間経ち、ハッとしたときには7時間ほど経過していました。
ただただじっと横になっているだけでした。寝返りを打つことさえしんどかったのです。
気が張っていて、目だけは冴えていたので、眠ることもできませんでした。
休職を決める
夕方になり、上司が様子を見に来てくれました。その際に入院をするように勧められたのですが、子どものことが気がかりだと言って、断ったような気がします。
「疲れ切っています」とだけ伝えました。
そして、これだけ周囲に迷惑をかけてしまっているこの状況でも「ご迷惑はかけられないです」と。
少しの時間話し合い、当面休職することが決まりました。
ゆうかのワンポイント
うつ病になると、思考判断力が著しく落ちてしまいます。記憶力も低下します。
それに加え、自分の存在が価値のないものに思えてくるのです。まるで自分の言動の全てが大きな間違いを犯しているように感じられ、ひたすらに自分のことを責め続けます。
その結果、「まだまだ頑張りが足りない」「もっともっと頑張らなくちゃ」とエネルギーをどんどん消費してしまうのです。
そうなってくると、次第にエネルギーは底をつき、体力も気力も失われていきます。
もし周りにうつ病の方がいるときは、失ったエネルギーを貯めていけるよう、休息できる環境を整えてあげられると理想的だなと思います。
うつ状態が底をついているときは、一日中横になっていることが必要不可欠ですし、一日中横になっているだけでも体力・気力をとてつもなく消耗してしまいます。
そして一言、「この苦しさは永遠に続くわけではなく、あなたの存在は迷惑なものではない」と伝えていただけたら。
見ている周りの方も大変かと思いますが、その大変さはうつ病にかかった人のせいではなく、全てはうつ病という病気のせいなのです。
最短コースで回復するためには、周囲の協力が大きく重要なものとなります。私自身、夫には感謝しきれないほど支えてもらえて今があります。
どうか、回復というコースを一緒に伴走していただければと思います。
体験記6へ続きます。