体験記8・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【悪夢・眠れない】のリアルなおはなし
こんにちは。恩田ゆうかです。
この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。
同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。
今回はのテーマは「悪夢・眠れない」です。
眠れない
うつ病になると、睡眠障害が生じるケースが多いと言われています。
まさに、私もそうでした。
寝付けない、眠りが浅い、何度も夜中に目が覚める、そして明け方に目が覚めてからも寝付けない。ざっと、こんな感じです。
「寝よう寝よう」と思えば思うほど眠れなくなるというのは、誰もが一度は経験したことがあると思います。あれが毎晩何度も繰り返されるといえば分かりやすいでしょうか。
何度もお薬を調整してもらいつつ、時間をかけて体調が回復すると共に、徐々に眠れるようになっていきました。それでも、しっかり睡眠がとれるようになるまで半年近くかかりました。
眠れない→動けない→眠れないといった負のループが続くのはつらいですよね。そんなときお薬の力に頼るのは、決して悪いことではないと私は思っています。
お悩みの方は医師にご相談してみてくださいね。きっと一緒に考えてもらえますよ。
毎晩見る悪夢
眠れなかった時期は、ようやく寝付けたと思っても必ず悪夢が待ち構えていました。
毎回、恐怖とグロテスクに満ちた夢ばかり。
それもかなりリアルで、音や感触、匂いまで確かに感じるのです。
追いかけ回される夢。
乗っていたエレベーターが落下する夢。
大量に吐血する夢。
娘が殺される夢。
大洪水が起きる夢。
世界が裂けていく夢。
自分が死体の中に埋もれていく夢。
数え切れないほどの悪夢を見続けました。全ての悪夢のパターンを制覇したかもしれないと思うほどです!
隣で寝ている夫に何度「うなされていたよ」と言われたか分かりません。
泣きながら目覚めることも日常茶飯事でした。
夢か現実か分からなくなる
時には不思議な体験もしました。
夜中に目が覚めると、寝室の隣の廊下から足音が聞こえるのです。
ゆっくりとこちらに近づいてきて、ピタッと止まったかと思うと、スーーーッと寝室のドアが空いた音がして、中に誰かが入ってきた気配がします。
すると、私が寝ているベッドサイドに、女性の人影が。
私は怖くて身動きが取れなかったのですが、目線だけ上に向けると、首元に聴診器がかかっているのが見えました。
彼女はしばらく私のことを見下ろして、それからゆっくりと私の足元の方へと歩いていきました。
その直後です。
突然両足首をガシッとつかまれ、グッと体が下に引きずられたのです。
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気が付いた時にはもう、部屋は薄明るくなっていました。
夢だったのか、私の妄想だったのか、結局のところよく分かりません。
ただ、見た光景や足首をつかまれた感覚は、今でもはっきり覚えているのです。
ゆうかのワンポイント
夢は心理状態を映し出す、鏡のようなものだと言われます。
例えば、「握り締めた手の中に、カッターの刃が入っていて血塗れになった」「何度片付けてもカッターが出てくる」……そんな夢を繰り返し見ていた時期がありました。
このとき現実の私は「つらい過去を思い出しては心を痛め、また過去を思い出しては心を痛める」といった状態に陥っていたのです。
つまり、カッター=つらい過去の象徴。
過去にフタをするのではなく、過去と向き合って心の整理をする必要がある。もしかしたら、夢は私にそう教えてくれていたのかもしれませんね。
その後、体調の回復とともに悪夢はめっきり見なくなりました。本当に不思議なものです。
あなたは昨夜どんな夢を見ましたか?
体験記9へ続きます。