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円満退職したい看護師さん必見。きれいな辞め方マニュアル【転職】

看護師の転職率は、全国平均約11%にも上るのをご存知でしょうか。

このように転職が多い業界であるがゆえに、「退職の申し出をしたけれど、引き止めにあってしまった」というケースや、「退職直前に揉めてしまった」というトラブル例も、多く耳にします。

退職を決意したそのとき、誰もが希望するのは円満退職ですよね。今までお世話になった上司、一緒に働いてきた同僚にはなるべく迷惑をかけたくないものです。何か問題を生じて、後味の悪い最後を迎えるなんてイヤですよね。


こんにちは。看護師ライターの恩田ゆうかです。
私もこれまでに3度の転職経験があり、それぞれの職場で退職を経験してきました。

この記事では、円満退職を希望する看護師さんが、気持ちよく職場を後にできるよう、退職までの流れや注意すべきポイントをまとめました。

あなたも惜しまれる辞め方、してみませんか? 

流れ

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退職を決めたら、以下のように退職までの準備を進めます。

就業規則の確認

直属の上司に退職意向を伝える

退職日の決定

退職届の提出

退職 

1.就業規則の確認

就業規則」はご存知ですね。労働条件などに関する規定がまとめられたものですが、普段からよく見る看護師さんはあまりいないかなと思います。

では、就業規則の保管場所はご存知ですか? 意外と「どこだっけ」と思う方が多いと思います。

ナースステーション内の棚の中だったり、あるいはパソコンからアクセスできるようになっていたり、お勤めの病院によって異なりますので、まずは保管場所を確認しましょう。

どこにおいてあるかが分かったら、次は退職に関する項目をチェックします。

知りたいのは、退職をいつまでに申し出ればいいのかということです。

法的には、退職の申し出は14日前までにすればOK、一般的には退職の1か月前までに申し出るのが通例と言われています。しかし看護師の場合、多くはシフト制のため勤務体制の調整が必要であったり、引き継ぎに時間がかかることから、「2か月前あるいは3か月前までに」という長めの期間を設けている病院が多いです。

就業規則の規定に従って、退職を申し出るタイミングを考えましょう。 

2.直属の上司に退職意向を伝える

直属の上司これがポイントです。 主任でもなく、看護部長でもなく、師長(課長)クラスの上司に話を通しましょう。

師長の耳に主任経由で伝わったら、師長の顔が立たなくなりますし、部長の耳に直接入れば、師長の管理能力が疑われてしまうかもしれません。もちろん、先に同僚に話してしまい、それが師長の耳に入るなんてことが無いようにしましょうね。

このタイミングでは、退職届を出す必要はありません。

3.退職日の決定

有給が残っていれば、その数も含めて計算して、最終出勤日を決めることになります。

年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇期間は人手が薄くなりがちで、シフトも組みにくい時期なので、やむを得ない事情がない限り、そのあたりは避けた方がベターでしょう。

あくまでも独断で決めずに、師長などの役職者と相談しながら決めることをオススメします。そういった配慮ができるかできないかで、印象は変わって見えるものです。

4.退職届の提出

退職日が決定したら、なるべく早めに退職届を提出します

退職届は、病院によっては決まったフォーマットで提出するよう求められることもあるので、決められた方法で用意して提出しましょう。

手書きでもパソコンで打った文章でも、どちらでもよいのですが、大切なのは「お世話になりました」という気持ちを伝えて直接手渡しすることです。このときも、提出先は師長であることが多いです。

5.退職

最終出勤日を迎えるにあたって、前もってやっておいた方がいいことを5つ上げます。

①引き継ぎ

とにもかくにも、これをスムーズにできるかどうかが一番重要です。

受け持ちの患者さんについて、病棟内での係り、院内の委員会など、自分が現在請け負っている業務を後任の看護師に引き継ぐ必要があります。

口頭での説明に加え、後任者が困らないように、文書として必要事項を残しておくのもいい方法ですね。「もう退職するから、あとはよろしく」という態度ではなく、これまで以上に誠意をもって業務に取り組みましょう

事務手続きの確認

雇用保険被保険者証や源泉徴収票の受け取り、保険証の返還などがあります。職場によっては、年金手帳を預けているところもありますね。車通勤の方は、駐車場使用許可証などの返還もお忘れなく。

事務職員の求めに応じて、すみやかに事務手続きを処理するよう心掛けましょう

③荷物の片づけ

ロッカーの中など、意外と物がたくさん入っている看護師さんいませんか?(耳が痛い)

最終出勤日にまとめて持ち帰ろうと思うと、泣きを見ることがありますので、退職日の1週間前くらいから計画的に持ち帰るようにしましょうね

余談ですが、私は最終出勤日に、プレゼントとして大きな鉢植えの観葉植物をいただいたことがあります。鉢植えの重さ=愛の重さ……と言い聞かせて、やっとの思いで持ち帰ったのもいい思い出です。

④お世話になった全ての方へのごあいさつ

同じ病棟の同僚はもちろん、異動したスタッフや他職種のスタッフ、そして患者さんにも、感謝の気持ちをこめて、ほんの一言でいいのであいさつをしておきましょう

最終出勤日には、菓子折りなど持っていくと喜んでもらえますよ。数が多い・個包装・日持ちするものがオススメ。

⑤鍵やユニフォーム等の貸与物の返還

入職時に貸与されたものを担当部署に返還します。紛失物はありませんか。きちんと確認して漏れがないようにしましょう。

これで、すべて完了です。お疲れさまでした!

これはNG!3つの退職理由

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退職する理由は、看護師の数だけあるものです。が、そんな中でも「これは言っちゃダメ」という退職理由を3つあげていきます。

1.人間関係の不満

ありがちな理由ですが、こういうものはどこから流れて誰の耳に入るか分かりません。噂話に尾ひれが付いてしまうのもよくあることです。

職場の空気を悪くして、自分だけ去るということがないように心がけましょう。

2.残業などの労働環境への不満

仕事をしているのに残業代が出ない、いわゆるサビ残や、自分の思う仕事のやり方ができないといった労働環境に対する不満は、引き止めにあう可能性があります。

「あなただけ特別に処遇をよくするから、辞めないで」と労働環境の改善を提示されたらどうしますか?こういうものは一時的な処遇改善で終わってしまうこともあります。

周囲にしわ寄せが行ってしまえば、居心地が悪い中で働かざるを得なくなってしまいます。

3.賃金などの待遇への不満

これももっともな理由だと思います。ですが、少なからず正当に賃金を支払われてきたのであれば、職場側から見たあなたの印象は悪くなる可能性がありますし、②と同様、待遇改善を理由に引き止めにあう可能性があるので避けた方がよいでしょう。

退職理由は、引き留める余地がないものを

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あえて嘘をつく必要はありませんが、引き留めを防ぐためにも、退職理由は引き止める余地がないものを伝えることをオススメします。

例えば、

  • 夫の仕事の都合で引っ越すことになった
  • 子どもが最近精神的に不安定で、そばにいてあげたい
  • 家族の介護が必要
  • 自身の健康問題
  • スキルアップのため、今の病院にはない別の診療科を経験したいなど

これらは、代替案の提示が難しいので参考にしてみてください。

引き止めにあったら

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引き止めにあったら、毅然とした態度で、キッパリ・ハッキリと退職の意思を伝えましょう。このとき、決して感情的にならず、謙虚な姿勢で話すことがポイントです。

「しっかりと引き継ぎをします」「周囲が困らないよう、最後までしっかり働きます」「先々の予定が決まっています」 など、退職は固い意思によるものだと示しましょう。譲歩する姿勢を取ると、ずるずると引き止めのスパイラルにハマってしまうので、頑張りどころです!

あるいは、「少し考えさせてください」と伝えて、後日再度話をする方法も効果的ですよ。しっかり考えた上で退職したいと結論付けた、ということを示すことが重要です。

最後に

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立つ鳥あとを濁さずということわざがあります。立ち去るときには、跡が見苦しくならないように後始末せよ。あるいは、引き際は美しくせよ、という意味です。

トラブルのない円満退職、惜しまれるような存在を目指して、余裕を持った退職準備をぜひ進めてみてください。

きれいな水鳥のように飛び立っていけることを、心から願っています!