ナースゆうかとメンタルのおはなし

精神科ナースがメンタルヘルスのあれこれについて情報発信中!

体験記4・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【精神科受診】のリアルなおはなし

こんにちは、恩田ゆうかです。

この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。

同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。

今回のテーマは「精神科受診」です。 

刺激に対する過敏さ

Photo by Caleb Woods on Unsplash

あの朝以降、まるで世界がとても不安定なもののように感じていました。実際不安定になっていたのは、私の方だったのですが…

具体的に言うと、常に気が張っている(気を張っていないといけない)ような状態でした。

何かを考えようとしても、考えは上手くまとまらず、いらいら感だけがつのるばかり。
気が付けば、涙が溢れてきます。
仕事には数日行くことができないでいました。
家事もほとんど手に付かず、横になっている時間が増えました。
そして時折、突発的な過呼吸発作に見舞われては落ち込み…… 

そんな私を見かねた夫から、精神科への受診を勧められました。

「精神科のナースが精神科に行くなんて、ナースとしても失格」
「仕事もクビにされてしまう」

当時の私は、何か行動を起こせば、それがすべて悪い方向に進むような気がしていました。しかし、心身ともにつらいのは事実。このままでいいとも思えませんでした。

私は、精神科への受診を決めました。

うつ病・不安障害と診断

Photo by Maria Ionova on Unsplash

これまでのこと、今一番つらいこと、自分がだめなこと。
私からそんなことを話しました。

主治医の先生は、私のことを一切否定せずに話を聞いてくれました。声が震えたり、言葉に詰まってしまったり、緊張もあって上手く話せなかったのですが、私の言いたいことをしっかりくみ取ってくださったので、ほっとしたのを覚えています。

その上で「つらそうですから、ひとまず薬で様子をみましょう」と軽い安定剤を処方してくれました。

安定剤を飲み始めて、何かが変わったかと言えば、あまりそんな気はしなかったのが正直なところです。かと言って、副作用が出るのも心配だったので、こんなものかなと思っていました。

自分を客観的にみるということ

Photo by Daiga Ellaby on Unsplash

2回目の診察時のことです。

主治医の先生に、こう言われました。

「あなたは、周囲の人に対して人一倍、気づかいや配慮ができるのに対して、自分に対しては人一倍、感度が鈍いようですね」

「これまで、体はいくつもの悲鳴を上げてきていたんですよ。それをことごとくスルーされて、いわばあなたの心と体は現在ボイコットしている状態です。つまり、心と体が強制的にあなたを休養させようとしている

「あなたがもし双子だったら、と仮定してみてください。生まれも育ちも、これまでずっと一緒に生きてきた仲のいい姉妹。あなたが双子のお姉さんだとして、今のあなたが妹。お姉さんの立場から、今の妹はどう見えますか?」

涙があふれてきました。

これまで「いい母、いい妻、いい看護師になりたいのに、なれない、できない、それは努力が足りないから。きっと周りはもっと努力しているし、もっと大変なのに、こんなことで弱音を吐いていてはだめ。」と、ずっとずっと自分を責め続けてきました

そこに、双子の姉というフィルターをかけて、自分を客観的に見た瞬間に「もう十分だよ」という感情が自然とわいてきたのです。

「その感情がヒントです。これから、本当のあなたを取り戻していくんですよ。ゆっくりやっていきましょう」

先生はにこっと笑い、そう言ってくれました。

ゆうかのワンポイント

Photo by Creators Collective on Unsplash

精神科に初めてかかる方は、一体どんなところなのだろうかと不安に思うかもしれません。

入ってみると、普通の内科と変わらないような様子です。リラックスできるようなBGMがかかっているところもありますね。

通常の受診では、診療にかかる時間は5〜15分程度。
初診の場合は30分ほどかかるのが一般的です。

また、完全予約制のところが多いのも特徴です。
初診の場合、当日に電話をかけても「今日はいっぱいなんです」と断られる、なんてことも。

ドキドキするかもしれませんが、何も怖いことはないので、安心してくださいね。

医師、看護師、場所によっては精神保健福祉士臨床心理士、そして医療事務と、いろいろな職種のスタッフがいますが、みなさんあなたのことを大切にしてくれます

「こんな症状でも受診していいのかな」と思う必要はありません。
「つらいな、しんどいな」と思ったとき、「話を聞いてもらいに行く」という感覚で行かれてみることをオススメします。
きっと、家に帰る頃には「行けてよかった」と思えるはずですよ。

体験記5へ続きます。