ナースゆうかとメンタルのおはなし

精神科ナースがメンタルヘルスのあれこれについて情報発信中!

離婚に直結!? 最近よく聞く「カサンドラ症候群」とは?実体験を交えて解説。

こんにちは。看護師ライターの恩田ゆうかです。

突然ですが、最近お悩みではありませんか?

「夫または彼氏(以下パートナー)の言動に毎回振り回されている。でも悪気は無さそうだから責められない。毎回自分が我慢している。」

「パートナーと一緒にいる時間が長くなっていくほど、彼のことがよく分からなくなってきた。」

「具体的に何がどうって表現しづらいけれど、パートナーと一緒にいる自分が幸せなのか分からない。」

もしかしたら、それカサンドラ症候群かもしれませんよ。

実は、私が離婚に至った原因の一つも、このカサンドラ症候群でした。

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体験記5・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【休職するまで】のリアルなおはなし

こんにちは、恩田ゆうかです。

この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。

同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。

今回のテーマは「休職するまで」です。

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体験記4・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【精神科受診】のリアルなおはなし

こんにちは、恩田ゆうかです。

この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。

同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。

今回のテーマは「精神科受診」です。 

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体験記3・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【パニックと過呼吸】のリアルなおはなし

こんにちは、恩田ゆうかです。

この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。

同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。

今回のテーマは「パニックと過呼吸」です。

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体験記2・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【不調とストレス】のリアルなおはなし

こんにちは、恩田ゆうかです。

この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。

同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。

今回のテーマは「不調とストレス」です。 


その後も治らない様々な不調

Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

胃潰瘍のあと、仕事復帰してからは、休んでいた分を取り戻すかのように、必死で仕事に向き合いました。 フルタイムで働いて、退勤後に娘を保育園に迎えに行き、帰ってから家事をこなす日々。

忙しくて大変だったけれど、毎日が幸せでした。

しかし、それに反するように、どんどんと体はいうことをきかなくなっていったのです

朝起きるたびに蓄積されていき、一日中持続する強い疲労感。
激しい頭痛。
めまい、ふらつき。
動悸、息切れ。
毎晩のように見る悪夢。
吐き気、食欲不振……

多種多様な不調に悩まされ、病院へ。諸々の検査を受けましたが、結果はすべて異常なし。

心身は、疲弊していく一方でした。

重なるストレス

Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

幸せな毎日だったとはいえ、全くストレスを感じていなかったわけではありません。

職場内では、上司のやり方を巡って派閥のようなものができていて、退職するスタッフが続出していました。 もともと、人のマイナスな感情の動きに過敏な私にとって、この頃の職場の空気感はとても息苦しかったです。

プライベートでは、娘の面会交流のために、離婚した元夫とは連絡を取り続けなくてはならず、これも大きな負担でした。それでも、離婚したのは親の都合。子どもが望む限りは、継続的に面会をさせてあげようと決めていました。


元夫との関係は非常に険悪で、離婚前後は実家・友人も交えてしまい、かなり揉めました。この頃の記憶はトラウマに近いものがあるのですが、面会交流のたびに、その記憶がフラッシュバックしてくるのです。


いつも心から血をダラダラと流しているような感覚でした。


これらに加えて、だんだん疲弊していく自分の心と体。
次第に余裕がなくなっていきました。

気がついたとき、そこにいたのは胃潰瘍だった頃のように、ネガティブ思考にとらわれた自分。

「妻としても、母としてもうまくやれない」という思いは風船のように大きく膨らんでいき、次第にこれまで生きてきた自分の人生さえも否定的に考えるようになっていったのです。 

魔法の言葉

Photo by nine koepfer on Unsplash

心身ともに疲弊してはいましたし、パフォーマンスは下がっていたかもしれませんが、生活を回すことに支障はきたしていませんでした。家事も育児も仕事も、どれにも穴を開けることはなかったですし、穴を開けないために躍起になっていたのだと思います

ネガティブな思いは外に出さないように、いつも笑顔でいたつもりでした。
それでも、溢れ出てしまっていたのでしょう。

上司や同僚、夫や娘が心配してくれているのは分かっていました。そんな優しい周囲の人たちに、要らぬ心配はかけたくないと、いつも「大丈夫」と笑っていました。

「大丈夫」という言葉は、私にとって魔法の言葉。 笑いながら「大丈夫」と答えると、本当に大丈夫だと思えてくるのです。

しかし、この言葉は諸刃の剣。 
無理をして使い続けたその後には、大きな代償を払わなくてはならないことに、このときの私はまだ気が付いていませんでした。

ゆうかのワンポイント

Photo by LAUREN GRAY on Unsplash

もし「大丈夫」を多用している人が周りにいたら、その人はもうすでに大丈夫じゃないのかも。

私の場合、大丈夫と答えていたのには2つの理由がありました。

一つは、先述の通り、相手に心配をかけさせたくなかったから。
そして二つ目は、うまく説明できるほど、頭が回っていなかったから。

ですから、「大丈夫?」と聞かれれば、つい反射的に「大丈夫!」と答えてしまいがちだったのです。

少し肩の力を抜いて、このあたりでコーヒーブレイクしませんか?

5分だけでもいいんです。誰かに向かって言うように、自分自身に向かって「今日も大変だったね」という気持ちで心と向き合う時間を作ってみると、無意識に流していた感情や思いに気付くことがあります。

きっと自覚していた以上に、自分が頑張っていること、疲れていることを実感するはずですよ。


いつもいつも、お疲れさまです。
あなたのその頑張り、見ている人がちゃんといますからね。


体験記3に続きます。

体験記1・精神科ナースが精神疾患になって痛感した【ライフスタイルの変化】のリアルなおはなし

突然ですが、“ナース”と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?

ハードワーク、白衣の天使、子どもの頃の夢などなど…いくつか声が聞こえてきそうですね!

きっと「病気とは無縁」で「健康そう」というのが、“ナース”という職業に対して抱かれる共通のイメージではないでしょうか? 


はじめまして。恩田ゆうかです! 
私もそんなナースのひとりです。

専門は精神看護。 

大学のゼミの頃から、これまで精神科一筋でやってきました。 


ナースという職業が「ハードワーク」で「メンタル・体力が充実していないと勤まらない」というのは、本当です。

もちろん職業柄、自分の健康管理は仕事のうち。普段から人一倍体調には気をかけていますが、それでも人間、思いがけず病気になることがあるのです。

まさか、私も自分の専門領域である精神科にお世話になるときが来るなんて、思ってもみませんでした。


この体験記では、うつ病・不安障害を発症した精神科ナースである私が、患者さんの立場になって初めて痛感できた様々な「テーマ」について、シリーズでお伝えしていきます。


同じ病気や似たような症状を抱えている方、またそういった方を支える側の方々にとって、この体験記がヒントとなり、何かの気づきに繋げていただけるものになればと考えています。 


今回のテーマは「ライフスタイルの変化」です。 


再婚・引っ越し・転職

Photo by Anastasia Dulgier on Unsplash

改めまして、恩田ゆうかです。 
チョコレートと猫を愛する31歳です。

これまでシングルマザーとして、女手ひとりで愛娘を育ててきた私に、あるとき大きな転機が訪れます。


それは、再婚


今まで住んでいた土地を離れ、新たな街で、新たな生活を始めることになりました。3人で暮らす日々は、笑顔が溢れ、幸いにして娘と夫の関係も良好。

「もう娘にはさみしい思いをさせない」という決意と、「私にもやっと安らげる場所ができた」という思いが混ざって、ほっと幸せをかみしめていました。

転居に伴い、職場も家からほど近いクリニックに転職
新しい職場は、アットホームな温かい空気で私を迎え入れてくれました。 

それまでは日勤も夜勤もバリバリこなす病棟勤務をしていたのですが、娘も小学校入学のタイミングだったことから、勤務時間帯が日中だけの訪問看護にシフトチェンジ。 

「朝は起きて、夜は眠れる。」 

規則正しい生活が送れるのは数年ぶりだったので、こんな当たり前のようなことが、うれしくてたまりませんでした。

倒れる

Photo by insung yoon on Unsplash

新しい環境に本当に恵まれ、私はこれ以上ないほどに、順風満帆なスタートを切ることができました。新たな人生の幕開けとしては、十分すぎるものでした。


ところが、少しずつ体に異変が生じ始めます

寝ても疲れが取れない。
頻繁に起こる頭痛。
胃の不快感。特に起床後の吐き気。


いくら順風満帆だったとはいえ、その毎日は慣れないことの連続。心身ともに疲れがたまっている自覚は持っていました。それでも「一過性のストレス反応だろうから、慣れるまでの辛抱」とタカをくくって、それほど気にも留めていませんでした。

実際、仕事中はこれらの異変を感じることはほとんどなく、それよりも「新しい職場で早く仕事を覚えなくちゃ」という気持ちの方が強かったのです。


しかし、事態は予想外に深刻でした。
ある朝、ミーティング中に吐き気と胃痛で倒れてしまったのです。

胃カメラの結果、胃潰瘍と診断。 

症状が良くなるまで、休みを取らざるを得なくなりました。

忍び寄る罪悪感

Photo by Carolina Heza on Unsplash

もともと心配症な私。

胃潰瘍の療養中、頭の中をめぐるのはネガティブな感情ばかりでした。胃痛と吐き気にさいなまれ、ベッドとトイレの往復で過ぎる毎日は、どんどんプラスのエネルギーを消耗していく一方です。

「まだ入職して半年も経たないのに長期欠勤だなんて社会人失格」
 「妻としても、母としても、上手くやれない」

そんなことばかりが、ぐるぐると頭の中を回っていました。

 次第に「しっかり病気を治すことに専念して、万全な体調で仕事に戻る」という考えよりも、「とにかく1日も早く元の生活に戻す」ことの方が、何よりも重要だと考えるようになっていきました。


そして、自分の中に芽ばえた焦りから、3週間ほどで無理やり仕事に復帰したのです。


今になって冷静に振り返ると、この頃から物事の捉え方がアンバランスになっていったように思います。この療養中に読んでいた本のうち、3冊全てが「罪悪感」をテーマにした書籍だったのですから。(後から気づいて驚きました) 

私の頭の中は、取り留めのない罪悪感に支配されていたのです。

ゆうかのワンポイント

 

Photo by Michael Fousert on Unsplash

結婚、転居、転職など、一見ハッピーな出来事に思えるライフイベント。実はこれらのイベントは、ものすごくストレスがかかることをご存知でしょうか? 

有名な研究として、1960年代に発表されたホームズとレイによる「社会的再適応評価尺度」というものがあります。この研究は、誰もが経験する可能性のあるライフイベントをそれぞれ点数化し、ストレスの強さを視覚的に評価できるようにしたものです。



この研究によると、「配偶者の死」や「借金」等、当然ストレスとして考えられるもの以外に、「結婚」「妊娠」などの喜ばしいイベントでも、強いストレスがかかることが示されています。


人は、新しい環境に置かれたとき、想像以上に強いストレスにさらされているのです。

「私もそうかも」と心当たりのある方は、積極的に休息の時間を確保するなどして、ご自分のことをいたわってあげてくださいね。


体験記2に続きます。